こんにちは。シンガポール在住ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。
シンガポールでは中国人投資家による不動産バブルを冷やすために外国人向けの印紙税が2倍の60%となりました。
シンガポールでは永住権を取得した外国人が支払う印紙税は 5%ですが、2 軒目の居住用不動産を購入する場合は 25%から 30%に引き上げられました。
また、居住用不動産を購入する事業体または信託は、35%から 65%の税率を支払うことになります。
27日に発表とともに施工となったこの改正によって、シンガポールの不動産デベロッパーの株価は大きく下げました。
シンガポール都市再開発庁の賃貸指数のデータによると、2022 年にはすべての民間住宅の価格が前年比で 29.7%上昇し、2007 年以来の最高値を記録しました。
シンガポールの家賃高騰は世界的に見ても特殊で、日系企業だけでなく、米国企業の駐在員などすべての家計に大きなダメージを与え、多くの人が生活のダウンサイジングや住むエリアの変更に迫られています。
これほどまで生活コストが高くなると、世界から外国人労働者を引きつけることが困難になります。そのために政府は不動産バブルを抑制する政策を直ちにとったのでしょう。
反面、日本ではバブル抑制政策は取られていないために、都心3区の高級不動産の価格が大きく上昇しているようです。
シンガポールで日本の都心マンションを仲介している方とお話をしましたが、一部のエリアの物件では数ヶ月保有しただけで数千万円の含み益などとバブルになっているようです。
日本では外国人の不動産購入に対する規制は全くない上に、彼らは住民税を免除されています。

これに対してシンガポールでは自国民や永住者が住む用以外に不動産を購入するには非常に高い印紙税を払う必要があります。
そのために、不動産投資はシンガポールでは難しくなり、浮いたマネーは日本の不動産も含めた海外に行く可能性もあるのではないでしょうか。
しかし、シンガポールの庶民は2020年のコロナバブルで貯蓄を増やしてから、2021年のインフレ及び金融引き締めに伴い、住宅ローンの利払いが増え徐々に財布が厳しくなっているように感じます。
シンガポールのフリマアプリを通じて2020年はブランド品などもよく売れましたが、2022〜23年は売れ行きが悪く、日本で売るほうがよく売れると感じます。日本では5/8からコロナが5類に変更されたばかりです。まだ人々は貯金を保有していると推測されます。
また、国が開放されて海外旅行に行くようになって貯金を減らしているように感じます。同じことは米国でも起こっており、消費大国が財布の紐を引き締め始めると世界経済に悪影響を及ぼします。
米家計の余剰貯蓄はピークの半分以下に減少し、減免措置をされていた学生ローンの支払いもまもなく再開されます。
銀行不安でもS&P500は横ばいが続く
米国の地方銀行の株を投資家が空売りをし、経営基盤の弱い金融機関が次々と標的となっています。
しかし、VIX(恐怖指数)はこの数ヶ月16〜17前後と低い水準となっています。
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