シンガポール在住、FPの花輪陽子です。

戦争、米国の弱い雇用、インフレリスクなど不透明要素が多い中の資産の守り方を考えていきます。

結論から言えば、不透明な時代の資産運用で最も重要なのは「未来を当てること」ではなく、「どんな未来でも壊れないポートフォリオを作ること」です。

投資家の「心の平安」はどこにあるのか

2026年3月、私たちはいま、非常に不透明な経済の踊り場に立っています。

先週金曜日に発表された米雇用統計は市場の予想を大きく下回り、景気の減速を示唆する結果となりました。一方で、来週に控えるCPI(消費者物価指数)は依然として高止まりが懸念されています。こうした状況から、市場では「ミニスタグフレーション(不況下の物価高)」という言葉も聞かれるようになりました。

先が見えない環境のなかで、投資家が陥りやすい行動は大きく二つあります。

ひとつは、恐怖に駆られてすべての資産を売却してしまうこと。
もうひとつは、逆に根拠のない楽観にすがり、一点集中の勝負に出てしまうことです。

しかし、賢明な投資家が目指すべき姿は、そのどちらでもありません。

本当に目指すべき状態はもっとシンプルです。

「何が起きても、自分の資産のどこかが笑っている」

そんなポートフォリオを持つことです。

この考え方は、ヘッジファンド界の著名な投資家であるRay Dalioが提唱した「オールウェザー(全天候型)ポートフォリオ」に通じています。

「オールウェザー(全天候型)ポートフォリオ」とは、「未来を予測しなくても、どんな経済環境でも資産が機能するように設計する」という投資思想です。

経済は「4つの季節」で動き、資産ごとに「得意な季節」があります。一つの資産に賭けるのではなく、異なる経済環境に強い資産を組み合わせることでポートフォリオを安定させます。

これは「未来を当てる投資」ではなく、「未来が外れても壊れない投資」と言えるでしょう。

多くの人が、日本株、米国株、世界株を保有しています。しかし、実はこれらの株はほぼ同じ方向に動くことが多いので、資産を分散しているように見えてもリスクは集中してしまっています。

本記事では、この思想をヒントにしながら、現代の市場環境、そしてシンガポールという金融拠点を前提にした「実践的なオールウェザー戦略」を考えてみたいと思います。

相関の魔法──「違う動き」を組み合わせる技術

オールウェザー戦略の核心は、資産の分散にあります。

しかし、ここでいう分散とは、単に銘柄数を増やすことではありません。

重要なのは

異なる経済環境で、異なる動きをする資産を組み合わせること

です。


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