日本の創業家や富裕層の間で、資産をグローバルに分散し、次世代へ円滑に承継する拠点として、シンガポールは今なお高い人気を維持しています。

前回のコラムでは、「単独SFO(Single Family Office)」「MFO(Multi Family Office)」「VCC(Variable Capital Company)」という3つの仕組みについて解説しました。

ポイントは、**MFOは資産管理を担う専門組織であり、VCCは資産を保有するための器(ビークル)**であるという点です。

そのため、「MFOとVCCのどちらを選ぶか」というよりも、どのように組み合わせるかを考えることが重要になります。

近年は、単独でSFOを設立するのではなく、実績のあるMFOが運営するVCCなどのプラットフォームを活用する創業家も増えています。

その背景には、制度の成熟だけではなく、資産管理に対する考え方そのものの変化があります。

「所有する」から「活用する」時代へ

かつては、自前のSFOを持つこと自体が一つのステータスと考えられていました。

しかし現在は、制度の整備や規制の高度化に伴い、資産管理には投資だけでなく、人材、コンプライアンス、ガバナンス、税務など、多くの専門知識が求められるようになっています。

その結果、「すべてを自分たちで抱える」のではなく、専門家が構築したインフラを活用しながら、自分たちは資産配分や事業承継といった本来重要な意思決定に集中するという考え方が広がってきました。

これは決して「SFOよりMFOが優れている」という意味ではありません。

それぞれに適した役割があり、自分たちの状況に応じて最適な組み合わせを考えることが重要なのです。

そこで今回は、実務上よく相談を受ける5つの判断基準をご紹介します。


これより先は有料会員向けの記事になります。会員の方はログインしてください。有料会員価格表はこちら